クリアウォーターの渓谷で
angler:Hideki Ito
六月最後の週末、相変わらず雨に恵まれない渇水の渓流にて。
さすがに魚の反応は渋いが、それはまあいつものこと。
決して雑にならず、伊藤は虎視眈眈と釣りを進める。わずかな
好機を見逃すまいと常に神経を研ぎ澄ましている。
だからこそ手にできた、33cmのヤマメ。
伊藤の釣りを見てると感覚が麻痺してしまうが、言うまでもなく、
この時期、この地域の尺ヤマメは貴重な存在だ。
特に今年は北国らしい冬の厳しい寒さが長く続き、暖かい春が
なかなかやって来なかった。
「この時期に釣るのは少しもったいない気もするけどね(笑)。
もっと大きくなってから、もう一回出会いたい」
rod:Expert Custom EXC510ULX lure:Bowie50S[BT]
ルアーは、昨シーズン数多くの魚をもたらしたボウイ50S。
釣り人の様々な意図に応じる超レスポンシブなヒラ打ちアクションは、
状況がシビアであるほどその威力が如実に現れる。
みずみずしく、しとやかな色合い。ギンケが強くも、光の当たる角度
によって繊細な色彩が浮かび上がった。
気付けば渓流シーズンの半分以上が過ぎているけれど、いよいよ
これからが本番。したたかに生き残ったさらに手強い魚が相手。
痺れるような駆け引きが、残りのシーズンに詰まっている。