岩手を巡る
9月のある休日、花巻市を訪れたときのこと。
ふと目に留まった、たぶん何年か前に
つくられた市のPRポスター。
そこには鹿踊り(ししおどり)の勇壮な演舞の
様子と、宮沢賢治の残したひとつの詩。
岩手には多くの伝統芸能が
大切に残されていますが鹿踊りも
そのひとつ。
ちなみに花巻で生まれ育った伊藤は
花巻温泉の程近くに親戚の家があって
小さいころからそこで鹿踊りを
よく見ていたらしいです。
「今回早池峰神楽が世界無形文化遺産に登録された
けど、たとえば部落ごとにも古くからのそういう芸能が
しっかり伝承されてる。田舎だったら特別珍しいこと
でもないと思うけどね。鹿踊りは実家の蔵にその衣装が
あったりして特に身近だった」とのこと。
そして詩。
「春と修羅」の中に収められている「高原」ですが
恥ずかしながら不勉強な僕は初めて読んだと思います。
宮沢賢治はほかに「鹿踊りのはじまり」という作品も
残していて(これはかろうじて知っていた…)
他の作品同様これもさまざまな読み方ができるわけですが
鹿踊りの本当の精神を風の言葉に聞いたと語られる
すてきな童話です。
この日ははじめから釣りをするつもりはなく
ウェーダーも家で陰干し中。
まずは宮沢賢治記念館と童話村へ。
館内には賢治に関する資料がたくさん展示されていて、
作品を読んだことのない人には微妙かもですが
本に描かれている情景がひとつでも心に残っている人は
きっと有意義な時間が過ごせるはずです。
行く前にちょっと何かの作品に目を通すだけでも
見方が変わって、より楽しめるかと思いますし
展示内容の豊富さもさることながら展示方法も
とても工夫されていて小難しいことは考えたくない
僕みたいな人間でも感覚的に楽しめる仕掛けと心遣いを
そこかしこに見ることができます。
興味のある方はぜひ。
施設は胡四王山の中腹にあり眺めもいいです。
詩や物語に流れる透き通った空気がそのまま
賢治が深く愛した豊かな自然と共に残されている
そんな気にさせるのもこの土地の魅力です。
で、じつはメインイベントはここから。
この日は3日間開催された花巻まつりの最終日で
23もの団体がそれぞれの流派の踊りを披露する
大規模な鹿踊パレードが見られると聞いての
お出かけでした。
写真もいっぱい撮りました。その模様はまた後日。