野生に生きる
今年も会社を囲む林の中で、新しい野生の命が誕生しました。
屋根のすぐ上を飛んでいるのが、今年生まれたタカの子供です。
それを見守るように遥か上空を親鳥が舞っています。
去年は2羽の子供が互いにちょっかいを出し合いながら賑やかに
飛び交っていましたが、今年卵からかえったヒナは1羽。
卵は2つ産んだようですが、台風以上の物凄い強風に見舞われ、
その内の1つが巣から落ちているのを伊藤が見つけました。
親鳥は落ちた卵を巣へ戻すことはなく、淘汰の世界を生き抜く
過酷さを改めて思い知らされました。
「切ないけど、これも自然の摂理の厳しさ。その分まで、
残った子供に力強く生きていって欲しいな」
晴れた日は決まって飛行やホバリングの練習です。ピィーッ、
ピィーッと甲高い鳴き声を辺りに響かせながら、僕らの頭上を
忙しなく飛んでいます。
子供が木のてっぺんに止まり一休みしていると、すかさず
近付いて飛行練習の続きを促す親鳥。この先、厳しい自然の中で
生きていく我が子に、飛行や狩りの仕方を教えていきます。
巣から出たばかりの頃は見た目にも幼くあどけない様子でしたが、
徐々に精悍さが増し、また敵対するカラスの集団との戦いも経て、
鋭く険しい野性味をたくわえてきました。
「また来年以降も、この野生のサイクルがここで続いていくのを
楽しみにしてるよ」と微笑む伊藤。
去年巣立っていった2羽の子供も今頃元気にしてるんでしょうか。
どこかの空で悠々と舞い、どこかの野山で立派に狩りをしながら、
たくましく生きている姿を想像するとワクワクします。
また再会できるといいなー。