イトウクラフト

TO KNOW FROM FIELD

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FIELDISM
Published on 2013/08/30

完璧な道具と全力の釣り

2012年9月、長野県
アングラー・写真=小沢 勇人
文=佐藤 英喜

いい魚を釣るのに、「こうしてこうすれば釣れる」という絶対的なキラーパターンなど存在しない。いい魚は出会えるチャンスが少ない。だから、いかにミスをしないかが大切。そう小沢は考えている。


「その貴重なチャンスが巡ってきた時のために、常に完璧な道具で全力の釣りを心掛けてる」


 小沢の釣りを支える完璧な道具。そこに、新たに2つのアイテムが加わった。


 1つはカーディナルに装着される軽量化パーツ「マウンテンカスタムCX」である。すでに詳しく紹介しているが、サイドプレートや各スクリューなど計7つのパーツを換装することでカーディナルを約20グラム軽くすることできるカスタムパーツだ。


「去年のその時点ではまだプロトだったけど、部屋で装着して軽く試し振りしてみたら、もうぜんぜんフィーリングが違う。20グラムの違いでこんなに軽快になるのかって驚いたし、さっそく次の日、川に行って実際にルアーをキャストしたら余計にその効果を実感したね。特に一番メリットを感じたのはキャスティングの面で、とにかくブレずに安定する。こんなに変わるのかと思うほど、精度も高まって飛距離も出しやすくなる。疲れないし、もちろん今まで以上にミスを減らすこともできて、キャスト以外の部分に意識を張り巡らす余裕も生まれる。一度使えば、その有利さはハッキリ分かるよ」


 カーディナルの良さはそのままに、タックル全体のパフォーマンスをさらに向上させるという軽量化パーツの本領を小沢は現場ですぐに実感した。


 そしてもう1つ、昨シーズンから小沢の渓流釣りをさらに進化させているのがボウイ50Sだ。


 ボウイについてもまずはそのキャスティング性能の高さを、強力な武器として挙げる。

ルアーはボウイ50S。様々な状況に対応するトータルバランスの圧倒的な高さをぜひ体験してほしい

「ブレのないライナーキャストが簡単にできるよね。単純にルアーの重さで飛ばすのではなくて、リリースしてからポイントに届くまでの空中での直進性が、飛距離と精度を安定して高めてくれる。だから、あれだけ飛んでコントロールもしやすいのに、泳ぎをまったく犠牲にしていないっていうそのトータルバランスが凄いなと思った。大ちゃん、ほんとこのバランスは常識外だよ。バルサならではの軽快なヒラ打ちを維持しながら、レンジのコントロールも容易だし、キャストも思い通りに決まる。さまざまな状況にストレスなく対応できるメリットはとてつもなく大きい。それに、いろんなことが自由自在にできるっていうのは、それだけで釣りがより楽しくなるよね」


 さて、この日の釣行についてだが、小沢がマウンテンカスタムCXを装着し初めて釣りに行った日、彼は「こんな魚が釣りたかった」と言う素晴らしいアマゴに出会った。サイズだけで言えばもっと大きな魚も手にしているが、サイズだけではない魚体の魅力が琴線に触れた。


 ポイントは川が急角度にカーブして、岩盤に当たった流れがほぼストレートに瀬となって続くところ。そのブッツケの下だけが少し掘れて深くなっている。そこをアップストリームで攻めた。


 ボウイをキャストし4投、5投と探ったところで底の方でギラリとアマゴが反応した。静かにキャストを繰り返し、より強い反応を引き出すようにトゥイッチでヒラの打たせ方を微妙に変化させていく。


「何だかよく分からないうちに釣れちゃった、というのじゃなくて、誘いのバリエーションがすごく豊富なミノーだからこそ、自分でしっかり操作して釣った、っていう満足度が大きい」


 誘いの意図がぴたりとハマった瞬間、そのアマゴは再び反応を示し、遂に小沢のボウイに口を使った。ヒットしたアマゴを寄せてくると、足元に近づいたところでガバガバッ!と激しく暴れ、そして、ぐるっと横に反転した時の魚体を見て小沢はドキリとした。大きさは30センチ台の中盤で体高のあるプロポーションも素晴らしかったが、何よりその質感の美しさに一瞬で目を奪われたのだ。

昨年も多くの尺アマゴを釣った小沢が、「これが最高の魚」と語った34センチの雄。さらに大きなアマゴも釣っているが、この透き通るような質感の美しさに心底感動した

 ランディングしたのは、淡いアイボリーの地肌にくっきりとイビツなパーマークを浮かべた34センチの雄のアマゴだった。


「釣った直後は肌が透き通るような感じで、本当に綺麗だった。それでいて顔付きはいかつい。アマゴは秋になると黒くなりやすいから、出会えたタイミングも良かったんだ。これは心の底から感動したね。ずっと見ていたくて、リリースしてしまうのが惜しかった。伊藤さんがいつも見せてくれる本ヤマメとか居着きのヤマメをきっかけにして、魚の本当の魅力、サイズ以外の価値を知ったし、それに対する憧れがこのアマゴに繋がったと思う」


 艶に溢れた滑るような肌、まるで水と溶け合っているかのような透明感。時間と共にどんどん陰っていく、ほんの一時の美しさに小沢は惚れ惚れとした。


 この川ではこの辺りのサイズが限界だと思う、と言う小沢にあえて聞いてみた。こんな見事な質感を身にまとった40クラスの大アマゴもいるのかと。


「いたとしても、出会える確率を言ったら限りなく低いよね。でもそんなアマゴが、どこかに必ずいるはずだと信じて、今も釣りをしている」


 完璧な道具と神経を研ぎました全力の釣り。すべてはその時のために。

TACKLE DATA

ROD Expert Custom EXC510ULX/ITO.CRAFT
REEL Cardinal 3/ABU
TUNE-UP Mountain Custom CX proto model/ITO.CRAFT
LINE Super Trout Advance VEP 5Lb/VARIVAS
LURE Bowie50S/ITO.CRAFT
LANDING NET North Buck/ITO.CRAFT

ANGLER


小沢 勇人
Hayato Ozawa

イトウクラフト フィールドスタッフ

1965年長野県生まれ、長野県在住。茅野市在住のトラウトアングラー。野性の迫力を感じさせる渓流魚を追って、広大な本流域から小渓流まで、シーズンを通して釣り歩き、毎シーズン素晴らしい魚達との出会いを果たしている。地付きの魚であり、少年時代からの遊び相手であるアマゴに対してのこだわりも強い。