spacer
Media / Contacts
HOME RODS LURES LANDINGNET ACCESSORY FROM FIELD CRAFTSMANSHIP NEWS MOVIE
FROM FIELD TOP>菊池功 Isao Kikuchi
PROFILE
きくちいさお。 1968年、岩手県釜石市生まれ。渓流のルアーフィッシングに熱を上げ始めたのが20歳のころで、それから間もなく伊藤秀輝との出会いをきっかけにサクラマス釣りにハマる。以後、人生の魚としてサクラマスを誰よりも愛し、全てを賭けて追い求める。なかでも20年もの間、片道4時間を走破して通い続けたホームリバーが秋田県阿仁川だ。阿仁の自然とサクラマスに魅了され続けた。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の犠牲となり逝去。享年43歳。

「3分の1の週末」 菊池功  
2009年夏~秋、岩手と秋田の川
文=佐藤英喜

TACKLE DATA
rod:Expert Custom EXC510UL&ULX/ITO.CRAFT
reel:Stella 2000&Cardiff C2000/SHIMANO
main line:Super Trout Advance 5Lb/VARIVAS
leader:Trout Shock Leader 8Lb/VARIVAS
lure:Emishi 65S&Emishi 50S 1st Type-Ⅱ/ITO.CRAFT



 雑誌でも取り上げられているので、「サクラマスの人」というイメージが強いけれど、菊池功は渓流の釣りも大好きなのだ。昨年も菊池のカメラには、渓流の素晴らしい魚たちが収まっていた。そのいくつかを見ながら、例年サクラシーズンに幕を下ろす7月以降の話を聞いた。
 フレッシュランからサマーランまで、トラウトシーズンの3分の2を費やしとことんサクラマスを追いかけている釣り人は、残りの週末をどう楽しんだのか。

―― 今回はデジカメのメモリーカードをお借りしましたけど、7月以降の写真もいろいろ入ってますね。まずはカラフトマスから。岩手沿岸では夏の風物詩ですね。

菊池 うん。以前はその時期になると、よく狙ってた。魚の数もいまより多かったと思う。セッパリが並んで見えたからね。ただ、母川回帰率の低さが影響してるのか、以前と比べるといろんな川に上るようになった気はする。

―― 以前は、ということは、最近はあまりやらないと。

菊池 ここ7、8年はやってないかなぁ。このときはヤマメ狙いで行ったんだけど、ポイントがたまたま深い場所だったから魚も見えなくて、ヒットして初めてカラフトってわかった。べつに珍しい魚じゃないけど、ほんと久し振りだからね、ちょっと感動したなぁ(笑)。

―― ルアーは蝦夷のロクゴーですね。これはよく使うんですか。

菊池 かなり使う。水中での存在感だよね。トゥイッチしたときの、あのギラギラ、アピール力の大きさが好き。もちろん5cmも使うけど、ロクゴーのド派手なヒラ打ちでいい思いをしてきてるし、でかいルアーにはでかい魚が来る、という昔からの考えも頭のどこかにあるんだよね。それにこれはアップでもダウンでも使いやすい。

―― 確かに、自分の中で信じられるルアーというのはありますよね。それでは次の魚ですが、やっぱりというか何というか、サクラマスの写真があります(笑)。底石の感じを見ると、釣り場的には渓流っぽいですけど。時期が7月下旬なんで、秋田ですか?

菊池 そう。秋田の渓流を歩いてて、このポイントは何かいるなあって思って、アップでひたすら投げ続けたらコイツが出た。これも蝦夷ロクゴーだね。

―― 功さん的に、本流と渓流を大まかに分けた場合、釣り方はどのへんが違うんでしょう。

菊池 例えば、阿仁川とかでサクラを狙うときって、もう魚の着く場所が大体わかるし、そのなかでもすぐ掛かる場所というのがあって、そこでは10投もしないよね。もちろん、閉伊川の長いランを攻めるときなんかは、時間を掛けて同じ瀬を何回も流すことはあるんだけど、渓流の場合は、何ていうかな、ここはあやしいなっていうポイントに出くわしたら、完全に足を止めて、40投も50投も普通にするんだよね。そういう意味では渓流の方が1ヶ所で粘るかな。このときもそれくらいは投げたと思う。

―― なるほどぉ。自分の勘をとことん信じるわけか。しかしこのサクラ、渓流域まで上った個体にしてはずいぶんとパワフルな魚体ですね。ランディングはスムーズにいったんでしょうか。

菊池 余計に魚が暴れないように騙し騙しやり取りして、あとはカスタムのリフティングパワーで寄せてくる感じだよね。このときはULXを使ってたけど、ULでもサクラは獲れるよ。

―― まあ、ULでもベリーとバットにじゅーぶんトルクがありますからね。では次の写真ですけど、いよいよヤマメです。これ、何cmあったんですか?

菊池 44cm。

―― えー、44!

菊池 自分がいままで釣ったことのある40オーバーというのは、ギンケした戻り系のヤマメがほとんどで、こういうパーマークのハッキリした個体は初めてだね。

―― これもポイントに入って、何か予感のようなものがあったんでしょうか。

菊池 いや、気になってたポイントに着いたら、水面で跳ねてたんだよね。体を半分くらい出して、ガボガボって。キャストを始めたらさすがに跳ねは止まって、ブッツケのすごく深いポイントだったから魚はまったく見えなくなったんだけど、そこにいるのはわかってるからね、これもかなり粘った。

―― ルアーはファーストのタイプⅡですね。

菊池 水深が2mくらいあったし、アップでしつこくヒラを打たせるためにね。30~40投はしたと思う。泡のなかでドンっと掛かって、ヒットした瞬間は何も見えなかった。で、足下まで寄せてきたら、ヤマメだし、このサイズだし、パーマークはハッキリ見えるし、もうめちゃくちゃ興奮した。

―― それにしても、明らかに戻りヤマメとは違いますよねえ。

菊池 そう。こんな魚、掛かるわけない(笑)。釣ったのは本流筋なんだけど、ちょうど似たような特徴を持ったヤマメが近くの支流にいることはいて、そこから落ちてきたのかなぁとは思う。

―― こういう大物になると、巡り合わせもありますよね。

菊池 ヤマメに限らず、昔から、結構大物は見てることは見てるんだよね。ただ獲れないだけで。なんか、魚に見入ってしまうんだよなぁ。竿を振らずに、じーっと観察してしまう。2時間も3時間も見てたから。まあ、それで得るものもたくさんあったけどね。魚が浮き沈みするタイミングとか、太陽の角度によってルアーに反応したり無反応だったりすることとか、いろいろ勉強になったし、確実にいまの釣りの糧にはなってると思う。

―― 今年のサクラマスの写真もすでにありますね。

菊池 先週、閉伊川に行ったときに、ちょうど釣り友だちの淳君と翔太君も来てて、釣ったのがサクラ初挑戦の翔太君。最初は別々のポイントで釣ってて、昼近くに自分にチェイスがあったんだけど対岸に釣り人が立っちゃってダメになって、しばらく時間を置こうと思ってたとこに二人が来たんだよね。で、翔太君がそこで釣ったわけ。

―― 初挑戦で釣っちゃうなんて、スゴイですね。

菊池 みんなセンスいいから(笑)。そのときは海から風が吹き始めて水面がザワついてたから、チェイスは見えなかったみたいだけど、翔太君は逆に見えなくて良かったって言ってたね。

―― えーと、では最後に。サクラフリークのなかには、サクラマスでほぼ完全燃焼、という人もいると思いますけど、功さんの場合はサクラから渓流に移って、気分的に何か変わります?

菊池 うーん、いやあ、それは変わんないね。サクラマスも、イワナも、ヤマメも、釣りに行くときの気持ちはまったく同じ。毎回ワクワクして行ってるもんね。












specer
CATEGORY
FIELD STAFF
OTHERS