spacer
Media / Contacts
HOME RODS LURES LANDINGNET ACCESSORY FROM FIELD CRAFTSMANSHIP NEWS MOVIE
FROM FIELD TOP>前田章一 Syoichi Maeda
PROFILE

「イトウガイドサービス その①」 前田章一
2006年8月14日、岩手県
写真=伊藤秀輝
文=丹律章

タックルデータ
ロッド:イトウクラフト/エキスパートカスタムEXC510PUL
リール:アブ/カーディナル33(オリジナルカラーリングバージョン)
ライン:バリバス/スーパートラウトアドバンスVEP 5ポンド
ルアー:イトウクラフト/量産型バルサ蝦夷50S



 2006年の夏。イトウクラフトのアドバイザーである岩手の菊池久仁彦、イトウクラフトタックルのユーザーで菊池とも親交のある埼玉の前田章一さんの2人を、伊藤秀輝と大和博(イトウクラフトアドバイザーであり雫石の山と川のエキスパート)が雫石の渓流へ案内した。近しい釣り人しか経験できない1日を、それぞれの釣り人はどう過ごしたのか。まずは前田章一さん編。

「もうですね、緊張ですよ。伊藤さんが見ている前で釣りをするんですからね。僕の釣りの技術は全然ダメですから、伊藤さんとか久仁さんとかみたいにキャストができるわけがない。普段でもできないのに、伊藤さんが見ている前でできるわけがないでしょ」
 雫石の渓流に精通した、伊藤と大和という2人に案内される釣りは、一見豪華に見えるが、釣りをする人間は慣れるまで相当の緊張を強いられるようだ。
「緊張はしたけれど、夢みたいな一日でもありましたね。だってね、そりゃあそうでしょう。伊藤さんと渓流を歩けるんですから……」
 前田さんは、イトウクラフトロッドやルアーのユーザーである。平たくいうと「お客さん」だ。だが現在では単なるユーザーともちょっと違う関係になってきている。
 前田さんによると、伊藤秀輝及びイトククラフトとの関係は以下のようなものになる。
①1996年、知り合いに釣れて行ってもらった初めての渓流釣りで、エサで尺ヤマメを釣る。それをイトウクラフトに剥製依頼する。この時は釣り人としての伊藤秀輝のことは知らない。
②1998年、ルアー釣りを始め、トラウティストの創刊号で伊藤秀輝という釣り人を知り、伊藤が剥製のイトウクラフトであることに気がつく。
③2001年頃、トラウティストの広告を見て、エキスパートカスタムを発注する。広く販売を開始する前の5フィート、ワンピースのモデル。
「僕は埼玉生まれの埼玉育ちなんですが、親父が岩手の前沢出身なんですよ。それで、毎年ゴールデンウィークやお盆には前沢に行っていたんです。だからロッドができたと連絡をもらった時に、田舎に帰るついでに、直接伊藤さんのところに受け取りに行ったんです」
 その時、前田さんは伊藤に何とか釣りへ同行させてもらえないかと頼んだが、日程やいろいろな問題があってそれはなかなか実現せず、やっとその思いが実ったのは翌年のことだった。
「驚きでしたね。何もかもが。ルアー釣りっていうのはこういうものなのかって気づかされました。自分の釣りはルアーを投げて巻くだけだったって。でもですね、それ以来自分の釣りが飛躍的に変わったかっていうと、そうでもない。ああいう凄い釣りがあるのは分かったんだけど、真似しようと思ってもできないし……仕方ないですね」
 その後、伊藤の仲介で菊池久仁彦と出会い、現在では毎年、菊池と釣行をともにしている。
 そしてそんな関係が、今年の夏の雫石川釣行へとつながった。
「最初は竜川の本流を2~3ヶ所やったんです。小さいのしか釣れなくて、その後支流に入った。最初のポイントをやらせてもらったんですけど、そこで27くらいのきれいなヤマメが釣れたんです。いつも久仁さんと釣りをすると、そこに落としたんじゃダメだ、もっと奥に入れなきゃっていわれるんですけど、その時もそんな感じ。ポイントの真ん中に落としてしまって……でも、2~3回ハンドルを巻いたらゴンってアタリがあって、釣れちゃったんです」
 毎年岩手で釣りをする前田さんだが、いつも釣れるのは手のひらくらい。大きくても25センチとか。だからこの魚は嬉しかったと前田さんはいう。岩手では初めてのサイズだと。
「出会いっていうのは面白いものですね。実は最初の尺ヤマメを剥製に出す時、ルアーフリークの広告を見て決めたんですけど、僕はまだ釣りをしていなかったから、どうしてルアーフリークが家にあったのかが分からないんです。ルアーはおろか釣りすらしない自分が釣り雑誌を買うとも思えないから、多分、知り合いにもらったとか、そういうのなんでしょうけど。あの時ルアーフリークがなかったら、今のお付き合いはさせてもらってなかったかもしれない。それと、親父の田舎が前沢じゃなかったら、岩手がこんなに身近な場所ではなかっただろうし」
 前田さんを取り巻くいくつかの偶然が、この日の釣りを生んだのだ。
「母親も宮城の出身なので、久仁さんには、住んでるのは関東だけれどDNAは東北だもんねって言われます」
 DNAが東北の渓流に前田さんを誘う。それは来年も再来年も変わらないだろう。 FIN





specer
CATEGORY
FIELD STAFF
OTHERS